やっぱり犬だよね!
「柴犬はどうでしょうか?くるんとした瞳がそっくりでしょう?」
「あのふわふわの毛並みでしたら、ゴールデンレトリバーも良いと思います」
「茶色い毛並みもそっくり」
ナナリーの案に、ユーフェミアがパンと手を打って賛成した。
「俺はシェパードもいいと思うが・・・」
「シェパード?」
「似て・・・いますか?」
遠慮がちなルルーシュの案に、ナナリーとユーフェミアは首を傾げた。
「人並み外れた体力馬鹿っぷりと有り得ない運動神経が」
「ああ!」
「機敏なところも似ていますね」
訝しげにしていた二人も、ルルーシュの説明を聞いた途端に賛成する。
「視点を変えると面白いですね」
「う〜ん・・・でも、やっぱりスザクさんには可愛い犬の方が合うと思います」
「そうね」
「確かにあの毛並みは無視できないしな」
「・・・・・・さっきから三人揃って何の話をしているの・・・?」
「決まっているだろう」
「スザクさんがどの犬に一番似ているかを話しているんです」
「ちゃんとスザクにそっくりの犬を選んでみせますから」
三人の目は真剣だった。
「・・・ねぇ・・・どうして犬限定なのかな・・・・・・?」
気位が高い猫だけど・・・
「ルルーシュはやっぱり猫だよね」
「そうですね」
「お兄様には一番似合うと思います」
「・・・そうか?」
大きく頷く三人とは裏腹にあまり興味の無さそうなルルーシュである。
「それで、真っ直ぐな毛並みの綺麗な黒猫!」
「安直過ぎないか?」
「でも、ルルーシュの黒髪はとても綺麗ですから」
「・・・ありがとう。でも猫以外に無いのか・・・こう・・・もっと格好良い動物とか」
「・・・・・・格好良い動物?」
「お兄様、例えばどんな動物ですか?」
ナナリーに聞かれて具体的に考えていなかったルルーシュはう〜ん、と悩んだ。悩んで・・・「ライオン?」とぼそりと呟いた。
「ライオン・・・・・・?」
「ルルーシュが?」
「お兄様が?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「無い無い無い!似合わないよ、ルルーシュにライオンなんて!」
「お兄様が、がお〜と力強く吼えるイメージは湧かないですね」
「やっぱり気位の高い猫が似合います」
「それで、遊ぼうとしたらツンとするのに」
「放っておくと寂しがるんですよね」
「・・・・・・・・・」
「あれ?どうしたの、ルルーシュ。黙り込んじゃって」
「・・・もし猫に生まれ変わったら、真っ先におまえの指に噛み付いてやる」
ハムスターも可愛いよ?
「ナナリーならやっぱり可愛くうさぎかなぁ」
「そう・・・あ、小鳥も合っていると思います」
「何にしろナナリーに似合うのは、可愛い小動物だな」
「皆さんありがとうございます」
「それなら、私は?」
にこにこ笑うユーフェミアの顔を見て三人は考え込んだ。
「そうだな・・・ユーフェミアなら、ハムスターだな」
「ハムスターも可愛いよね」
「そうですね。昔カラカラと一所懸命走って回しているのを見たことがあります」
「ありがとうございます」
三人の言葉にユーフェミアはにこにこと笑顔を浮かべた。
「ああ、本当にユーフェミアはハムスターにそっくりだよ。・・・剥れて頬を膨らませた顔なんて、ひまわりの種を頬張り過ぎたハムスターにそっくり」
「まあ!」
途端にユーフェミアは頬を膨らませた。ルルーシュが言った通り、ハムスターにそっくりのぷくっとした頬である。
「ほら、そっくり」
「ルルーシュっ!」
ぱっと小さく手を振り上げたユーフェミアの後ろで──
「ぶぅっ」
思い切り噴出す声が響いた。
「・・・・・・スザク?」
「あ・・・その、すみません。あまりにそっくりだったので、つい・・・ぶっ」
駄目です、耐えられません!叫ぶなりスザクは「あはははは」と大声で笑い始めた。
「スザク、酷いです」
ぷうぅと剥れるユーフェミアの顔を見て、スザクはますます笑い転げた。
2007.03.12