「何もしていないルルーシュより軍人のスザクがいい身体をしてて、当たり前だろ」
というリヴァルの鶴の一声で、スザクの服は漸く決まった。結局一番最初に着たダークスーツに決まったのだから、何とも無駄な労力だった。
「三人とも遅〜いっ。もう始まってるよ」
会場に遅れて入ってきた三人を目敏く見つけたシャーリーが駆け寄ってきた。
「シャーリーこんばんは。そのピンクのドレス、凄く似合ってるね」
「え?あ・・・うん、ありがとう」
ごく自然にスザクに褒められてシャーリーが頬を染めた。
「ルルーシュもそう思うだろ?」
「ん?ああ、そうだな・・・シャーリーには明るい色がよく似合うな」
「!!!あ、ありがとう」
ルルーシュに褒められたシャーリーは、スザクに褒められた時とは比較にならないくらいに真っ赤に頬を染めた。
「じゃあ、俺達は向こうに行ってるから」
「ルルーシュ、またあとでね」
「え?」
下手なウィンクを残してリヴァルとスザクは、ルルーシュから離れてしまった。
(ま、まさかスザクのヤツ、一昨日のリヴァルが言ったことを本気にしているのではっ)
焦るルルーシュの目の前にいるのは、真っ赤な顔のシャーリーだけ。
「あのっルル、これ」
「ん?ああ、ありがとう。俺からも──」
「ええっ」
期待に目を輝かせたシャーリーだったが、差し出されたチョコレートが既にミレイがルルーシュから貰ったと言っていたものと同じでがっくりと肩を落とした。
「?どうかしたのか?」
「う、ううん、何でもない。ありがとう、ルル」
「??ああ」
自分に渡されたチョコレートがシャーリーの手作りチョコレートであるとは、全く気付かないルルーシュだった。
「リヴァル、おまえ・・・そんなにチロルチョコを抱えて・・・今年も駄目だったのか?」
シャーリーと別れスザクを探していたルルーシュは、ビニール袋に大量に入れられたチロルチョコを怒涛の勢いで食べるリヴァルを見つけた。
「何を言っているんだ、ルルーシュ、これが見えないのか?」
「いや見えているから言ってるんだが・・・チロルチョコが」
にやにやと笑って、嬉しそうにリヴァルはチロルチョコの大袋を掲げた。
「これは会長に貰ったんだ」
「・・・・・・」
「俺のチョコレートを受け取って、リヴァルにはこれね。って俺の為に用意してくれてたんだぞ」
「・・・・・・」
「チョコレートを返して貰えるなんてっ。俺はなんて幸せ者なんだっ」
「・・・・・・」
言いたいことが瞬時に七つ、それぞれ十通りの言い方で浮かんだが、ルルーシュはどれも口にしなかった。
「そうか・・・良かったな」
「おう」
友人が幸せそうにしているなら、今日くらい壊すことはないだろう。それが例えチロルチョコであっても。
End