バレンタイン・ダンスパーティ

 「スザク、おまえなんで制服なんだ?」
 「今日は盛装じゃないと、参加できないぜ。言ってなかったっけ?」
 学生服のままクラブハウスに駆け込んできたスザクを見て、ルルーシュとリヴァルは驚いてしまった。
 「・・・時間がなかったから・・・走るなら制服の方が楽だしね」
 借り物だけど、ちゃんと持って来てるよ、とスザクは荷物を掲げてみせる。
 「ルルーシュ、悪いけど部屋を貸して貰えるかな」
 「ああ、じゃあこっちに。リヴァル、悪いけど一人で頼む」
 「はいはい。楽な仕事だし、構わないから、さっさと着替えてこいよ」
 「ごめん、直ぐに着替えて手伝うから」
 受付にリヴァル一人を残して、スザクとルルーシュはクラブハウスの奥へと消えた。


 「ルルーシュ・・・これ、やっぱり変かなぁ」
 着替え終わったスザクだが、その姿は──
 「どう見てもサイズが合ってないな」
 指先が袖から出ていなかった。
 「・・・それはそれで可愛いけどな」
 「は?」
 「いや、何でもない。こちらの話だ」
 つい本音が出てしまったルルーシュだったが、この姿のままでパーティに出るわけにもいかないだろう。
 「仕方が無い、俺のを貸してやる」
 「いいの?」
 「ああ、ちょっと待っていろ。ああ、今度からはサイズを確認してから借りるようにしろ」
 「そうだね。そうするよ」
 でも、ロイドさんは僕より背が高いからなぁ・・・僕の背が伸びないともう借りるのは無理かな。
 スザクの独り言は幸いにして、クローゼットの前でコーディネイトに悩むルルーシュには聞こえなかった。

 「丈はいいけど、肩幅がちょっときついか・・・?」
 「う〜ん、この位なら大丈夫じゃないかなぁ」
 ルルーシュが貸してくれたダークスーツは、確かに少々窮屈だったが、激しい運動をする訳でもないし、スザクは満足していたのだが──。
 「おかしい・・・俺の方が少しだけとはいえ、背は高いのに」
 「僕は鍛えてるから」
 「なんだ・・・俺が軟弱だと言いたいのか?」
 「え?そういう訳じゃないけど・・・」
 あ、ちょっとルルーシュのスイッチが入っちゃった、かも。スザクの思った通り、ルルーシュの手は再びクローゼットに伸びてしまった。
 「くそっ、待っていろ。おまえにぴったりのを出してやる」
 「ええっ!?もう始まるよ?僕はこれで十分──」
 「おまえに窮屈だなんて言わせないぞっ」
 「ちょっとルルーシュ、リヴァルも待ってるから」
 「リヴァル?あいつなら、一人で仕事をさせておけばいい」
 「それは、ちょっと酷いんじゃないかな」
 「煩い、おまえは黙って待っていればいいんだ」


 「おまえら、俺一人に仕事させて〜〜っ着替えに何分掛けてるんだよっ!」
 待ちくたびれたリヴァルがルルーシュとスザクを呼びにくるまで、ルルーシュによるスザク着せ替えは終わらなかった。


End

2007.02.15

あれ・・・?パーティが始まってない・・・。