セシルさんのおにぎりシリーズ3 オレンジジャム
「さ、休憩にしましょう」
にっこり笑うセシルさんが持つお皿の上には、定番になったおにぎり。
「あ、おいしそ〜。い〜ただ〜きま〜す」
ロイドさんが躊躇なくおにぎりに手を伸ばす。
僕がロイドさんを最も尊敬する瞬間だ。
さあ、今日は何の具だろう♪
(おい・・・枢木准尉の笑顔が固まってるぞ)
(食べる前から遠い世界に行ってるよ・・・)
(やめときゃいいのに・・・・・・)
「さ、スザク君もどうぞ」
「い・・・いただき、ます・・・」
一口食べて広がった味は・・・・・・・・・・・・オレンジ?
い、苺のコンポートの強烈な甘さより、は、マシ、か、な・・・?
すっごく妙な匂いだけど・・・うぷっ・・・駄目だ、こ、込み上げるもの、が・・・。
「最近評判になってるオレンジジャムを使ってみたの」
や・・・やっぱりオレンジ・・・!!折角評判のジャムなら、僕はパンに塗りたいです・・・セシルさん。
「へえ〜このジャム、確かにおいしいね〜。どこのジャム〜?」
「ええとですね・・・ゴットバルト・オレンジ園産です。自家農園で作ったオレンジでジャムとかジュースを作っていて、どれもおいしいって評判なんです」
ゴットバルト?オレンジ?・・・・・・どこかで聞いたような・・・・・・。
「な〜んか、どこかで聞いたような名前だねぇ〜?・・・スザク君、覚えてない〜?」
「さあ・・・・・・?」
オレンジ卿ジェレミア・ゴットバルトに幸あれ!
セシルさんのおにぎりシリーズ4 オレンジジャムのおまけ
オレンジジャム・おにぎりの洗礼を何とか乗り越えて、今は緑茶タイム。
勿論、緑茶は僕が淹れている。
茶筒の傍には、さっきのおにぎりの具になったオレンジジャムの瓶が・・・。
「あれ・・・セシルさん、このジャムの瓶に付いている人形は何ですか?」
瓶の口に紐がぐるりと巻き付いて、その先にはオレンジの頭に緑色の髪の変な人形が・・・。青色のパイロットスーツを着ていて、凄まじい色合わせだ。
「ああ・・・それは・・・。何だか今サービス期間中で漏れなく人形が付くんですって」
「人形〜?へえ〜見せて、見せて〜」
ロイドさんが駆け寄ってきて、人形を手に取った。
「・・・・・・正義のヒーロー、いつでも全力!オレンジ卿・・・・・・???」
背中に付いたタグを読み上げながら、ロイドさんの眉間に皺が寄る。
「ださっ」
ぽいっとロイドさんは飽きたのか、人形を放り投げた。まあ・・・確かにカッコイイとは言えないかな・・・。
「ええと・・・・・・セシルさん、この人形はどうしますか?」
「そうねぇ・・・スザク君、欲しい?」
「いえ、要りません」
ついきっぱりと答えてしまった。
「私も要らないし・・・誰か要る人がいるかしら?」
周りを見渡しても、皆一斉に首を左右に振る。
「誰もいらないみたいだし・・・捨てて貰えるかしら?スザク君」
「分かりました」
何だか「雪辱の機会をー」「汚名返上のチャンスを〜〜」なんて声が聞こえた気がしたけれど。
「気のせいだよね?」
近くにあったゴミ箱に入れてしまうと、僕はすっかりその人形の存在を忘れた。
負けるなオレンジ卿!挫けるなオレンジ卿!汚名返上のチャンスもいつか訪れるさ!
たぶん・・・・・・。
幼馴染の童謡シリーズ2 どんぐりころころ
今日もスザクが歌っている。
そのスザクの傍では、ナナリーが微笑みながら耳を傾けている。
どんぐりころころ どんぶりこ
お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て 今日は
ぼっちゃん一緒に 遊びましょう
(・・・遊びに誘う前に、どじょうはどんぐりを助けた方がいいんじゃないか・・・?)
どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた
(遊んでたんじゃなかったのか!?)
(なんて迷惑などんぐりだ!)
「どんぐりさんは、お山の方が好きなんですか?」
「元々どんぐりは山になるものだし・・・」
「でも、どじょうさんは可哀相ですね」
「そうだね」
(ていうか、そもそも何でどんぐりとどじょうが会話できるんだ!?)
※どんぐりころころ→青木存義作詞/梁田貞作曲
2007.01.28
最近出番が無いジェレミア・ゴットバルトに愛を込めて。
オレンジ卿の復活はまだですか〜!?