「うわあ〜予想通りだ。よく似合うよ〜スザク君」
「ええ。とっても似合っているわ、スザク君」
「そ・・・そうですか?」
レーシングスーツに着替えたスザクを待っていたのは、ロイドとセシルの歓声だった。手放しで褒められてスザクは照れたが、褒められるのは嬉しい。思わず顔を綻ばせた。
「スザクも準備が出来たか」
「シュナイゼル・・・代表!?」
歓声を上げる彼らの元に突然現れた特派の代表、シュナイゼル・エル・ブリタニアの姿に、それぞれが驚きと非難と歓迎の声を上げた。
「ちょっと・・・貴方が何で単なるシート合わせにまで顔を出すんですか〜?」
「お久しぶりです。お忙しい中、お疲れさまです」
「ああ、久しぶりだなスザク。レーシングスーツがよく似合っている」
「そりゃ〜スザク君の為にデザインしたレーシングスーツだもんねぇ」
「・・・・・・は?」
お礼を言おうとしたスザクを遮って、ロイドがにやにやと笑ってシュナイゼルを見上げた。ロイドの言葉にスザクは戸惑い、セシルは──
「今の言葉について、少々お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「・・・・・・・・・いや・・・シート合わせを先に済ませた方がいいのではないかな」
いつの間にかスパナを片手に握り、笑顔でシュナイゼルの前に立ち塞がった。シュナイゼルはスザクに伸ばそうとした手の行き場を失い、ロイドに恨めしげな視線を送って小声で尋ねた。
(ロイド・・・彼女はどうしたと言うんだ?)
(いきなりスパナが飛んできたり、殴りつけられていないだけマシですよ〜)
「お二人とも、顔を寄せ合って何のご相談ですか?」
「う・・・いや、スザク君も準備が出来たみたいだし、そろそろ仕事に戻ろうかな〜と」
ロイドの言葉にセシルが納得していないことは表情を見れば一目瞭然だが、仕事を持ち出されては追及する訳にもいかなかった。
「そうですね。それじゃあ、スザク君、私についてきて」
「はい、セシルさん」
呼ばれたスザクがセシルと連れ立って去っていく姿を見送って、ロイドとシュナイゼルは深々と溜息を吐いた。
「やはり、スザクは後ろ姿も良いな・・・」
「今の溜息ってそこ〜!?・・・・・・完璧セクハラ親父になっちゃって・・・」
しみじみとスザクのレーシングスーツ姿(後姿)を堪能するシュナイゼルの姿に、ロイドは今の発言をセシルに報告するべきか真剣に悩んだ。
End